第2回 地域スポーツクラブの将来(Text by 小宮高雄)
情報化,都市化が進む中で人々のコミュニケーションは減り,身体を動かすことも少なくなりました。身体は必要な刺激を与えないと衰えていきます。高齢化と共に,足腰は弱ります。スポーツはまさにこのマイナスを補う素晴らしい力を持っています。 このようなことから,身近な施設を使用して,安価で,気軽に好きなスポーツを楽しめるならば,多くの人がスポールを楽しむでしょう。更にスポーツ後のコミュニケーションの場として,クラブハウスが完備していれば利用者はますます増えることでしょう。

このような考え方が,生涯スポーツの構想であり,地域型総合スポーツクラブ制度です。 体育とスポーツの違いは何でしょうか。基本的に体育は,与えられたものであり,スポーツは自らの意思で楽しむものです。体育は主に学校や企業を通じて行わ れてきました。生涯スポーツを推進するうえで,学校や実業団の単一の種目が縦割りになっている日本的なスポーツのあり方が障害になっていることも事実です。

今,世界の大半の国はクラブシステムをとっています。学校でスポーツ以外の授業を受け,午後,子供たちはそれぞれの地域に戻りクラブに行き,自分に適した スポーツを行っております。色々な種目を楽しみ,また,試し,最も自分に合った種目を継続して続ける。埋もれた才能を発掘する機会も増えます。学生時代の みならず,青年期,シニア期と各年代でスポーツを楽しんでおります。使用料についてはどうでしょうか。日本とは違い,受益者負担の考え方がしっかりしてい て,楽しむ分,支払う精神が確立しています。フランスを例にしますと,年間17,000円程度だそうです。

このようなことを頭に置いて,私たちのクラブを考えてみましょう。 運営に関して,企業や自治体からの補助金等の援助を受けていませんから,資金的にはきついものの自分達の意志で運営されています。 活動の場所に関して,学校のグランドや公園を利用しているため,長期の利用計画や緊急の催し物などには利用できませんので,かなり不便です。また,クラブハウスの施設もないため,スポーツの後の打合せや雑談等を楽しめません。 プログラムに関して,長期の計画が詳細に組めないため満足できるサービスが提供できません。 スポーツの種類も現在はサッカーの単一ですので,違うスポーツを楽しみたい場合は違うクラブに通わなければなりません。このように考えてみますと理想からは,かなりほど遠いところにあります。

それでは今後どのようにしたらより良いクラブになるか考えてみましょう。 現在,100年構想で推進されている地域型総合スポーツクラブ制に移行できることが理想ですが,地域全体のシステムや意識の改革,人材の確保等で都市部で はまだまだ無理があります。将来はおそらく我がチームを含め,クラブ化すると思います。そのときには推進化に協力したいと考えております。

もう少し近未来を考えてみましょう。 現在,活動の場として数校の小学校と宮崎中学校の施設を利用していますが,各学校毎に解放委員会が設置されています。たとえば梶が谷小学校と西梶が谷小学 校を考えてみますと,解放委員会のメンバーはほとんど同じです。この解放委員会に参加しているチームは,サッカー,野球,卓球,バスケット及び空手?等で すが,かりに各チームの思惑や方針等を無視して,このクラブを一つのチームと考えたらどうでしょう。学校も安心して,空き教室の一つを地域に解放し,立派 なクラブハウスができるでしょう。また,施設も合理的に利用でき,長期の計画もでき,季節ごとや年代によって色々なスポーツが楽しめます。また,ジュニア においては少子化で部員が少なくなってきていますが,そんな問題も解決するでしょう。

私が解放委員長と指導員を努めています宮崎中学校を考えてみましょう。解放委員会を宮中組チームの運営委員会と考えれば,ほかの人達が直ぐにフットサルに参加するとは考えにくいですが,バレーやエヤロに参加できると思います。試行的にやってみませんか。 川崎ウイングスFCは,生涯に渡りスポーツを楽しむために設立されました。それはシニアチームや一 般女子チームをみてもわかるところです。今後、更に幅広い年代や人達に各サービスを提供できるよう、環境を整える努力をみんなで前向きに行っていきましょう。そうすることで自分自身も大いに楽しみましょう。

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